30年近く臨床に携わってつくづく思うのは、いくら良い治療を行っても所詮持って生まれた歯にかなうものはないということです。治療しない、治療しないで済む状態を維持することが最も重要であると考えます。
健康な人々に、積極的にアプローチして、虫歯や歯周病になるのを防ぐことを1次予防と呼びます。
日本では健康な状態での歯の予防、すなわち1次予防が軽んじられているように思います。これは日本では予防が保険適用になっていないことも一因かもしれません。
1次予防、2次予防、3次予防は、主に医療や公衆衛生の分野で使用される概念です。これらは疾患や健康問題を予防するための異なる段階やアプローチを示しています。以下にそれぞれの予防の違いを説明します。
1次予防(Primary Prevention): 1次予防は、疾患や健康問題が初めて発生するのを防ぐための取り組みを指します。主に健康な人々を対象にして行われ、リスクファクターの低減や健康的な生活習慣の促進などが含まれます。例えば、予防接種、健康的な食事の啓蒙、禁煙キャンペーンなどが1次予防の例です。
2次予防(Secondary Prevention): 2次予防は、既に疾患や健康問題が存在するが、それを早期に発見し、進行を防ぐための取り組みを指します。主にスクリーニングや検査を通じて早期発見を行い、早期治療や管理を行うことで病状の進行を遅らせることを目指します。例えば、がんの早期検診、高血圧の定期的な健康診断などが2次予防の例です。
3次予防(Tertiary Prevention): 3次予防は、既に病気や健康問題が進行し、悪化している状態で行われる予防策です。主な目的は、症状の進行や合併症の発生を最小限に抑え、患者の生活の質を改善することです。リハビリテーションや症状の管理、障害の軽減などが含まれます。例えば、心臓発作のリハビリテーションプログラム、慢性疾患の管理計画などが3次予防の例です。
これらの予防の段階は、疾患の予防と管理の全体的なアプローチを形成し、個々の健康問題に適切な介入を行うための基盤となります。